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三菱商事が「スーパー、コンビニ」に見出す新価値 「生活者との接点」として欠かせないピースに

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競争環境がめまぐるしく変化するスーパー・コンビニ事業。消費者接点としての重要性を増す中、総合商社はどう向き合っていくのか。最前線を取材した。

ライフとローソン
三菱商事にとってライフとローソンは生活者を理解するための接点として重要な位置づけだ(左は記者撮影、右は撮影:今井康一)

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三菱商事との共同経営体制構築に向けて、KDDIのローソンに対するTOB(株式公開買い付け)が行われていた今年4月。その動きと前後して三菱商事は、商品軸の縦割りの発想を根底から覆す新たな組織を発足させていた。

立ち上げたのは「S.L.C.グループ」。「S.L.C.」はスマート・ライフ・クリエイションの略だ。金属資源グループなど8つある営業グループの1つとして、生活者起点のビジネスを管掌する。グループCEOには、エネルギー資源畑を歩んできた近藤祥太常務執行役員が就いた。

S.L.C.グループは6つの本部で構成される。ローソンや食品スーパーのライフコーポレーションなどを抱えるリテイル本部、海外で「ユニクロ」合弁事業を展開するアパレル・S.P.A.(製造小売り事業)本部、三菱食品などを持つ食品流通・物流本部などだ。本社社員だけで800人、関係会社を含めると約5万人が属する巨大組織になる。

新設グループの”憲法”はCtoB

近藤常務の下で6本部の連携を取り持つのが、グループCEOオフィス室の唐沢裕之室長だ。2月末までローソンで常務執行役員・経営戦略本部長を務めた。

唐沢室長は、ビジネスの発想を商品軸の「BtoC」から「C(カスタマー)」を起点とする「CtoB」に転換するという。Cを具体化すると生活者のニーズとなる。「CtoBがS.L.C.グループの“憲法”」だと唐沢室長は強調する。

CtoBとBtoBの連携も視野に入れる。たとえばネット通販事業者が生活者の環境意識の高まりに応えるため、使用しているサーバーに再エネ電源を求めたとする。データセンター事業や再エネ事業を行っている三菱商事なら、さまざまな提案ができる。総合商社ゆえに収益化の機会は多い。

CtoB実現のためにS.L.C.グループに集結させた事業は多種多様となった。コンビニなどの小売りだけでなく、産業DXやバイオ・金融まで加わっている。丸の内キャピタルといったプライベートエクイティファンドやMCデータプラスなどのデジタル事業もここに属する。

目指すのはCtoBビジネスとBtoBビジネスが融合し、生活者が知らず知らずのうちに三菱商事のサービスに包まれている状況だ。三菱商事では「スマートライフ経済圏」と呼ぶ。

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