シングル化を招く「柔軟性のない結婚と家族制度」 地方圏で根深く続く「伝統的結婚慣習や家意識」

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◎ 婚約者の両親に初めてお会いした時、「長男の嫁だから」「子どもはどうするのか? 生まれたらたくさん会わせてほしい」「親戚に早く挨拶しなさい」などと言われ、また、私の家のことを下に見るようなことを悪気なくずけずけと言われました。結納や結婚式も、私や婚約者の希望も一切無視して一方的に決めようとされ、令和の今でもこんなことを言われるのか……とショックを受けています。(20代)
◎ なぜ女性が姓を変えるのが当然なのか。手続きがこんなにも煩雑なのか。なぜ好きな人と一緒になりたいだけなのに、自分が根こそぎ奪い去られるような感覚を抱かざるをえない社会の仕組みなのか。家事をするのはなぜ未だに主に女性なのか。車のディーラーさんは私の車を私の貯金で買いに来たにもかかわらず、夫の方へ向けて主に話すのかなど、結婚してみて現代日本でまだ本当にそんなことがあるのかと驚きました。(30代)
◎ 東京から移り、同世代の人々に浸透する家意識に驚き、違和感を強く抱いた。子どもが生まれたら名付けの権利は男親の実家にある。妻の実家は何かにつけて発言権が弱い。そういうものだと当然のことのように話しているし、自らも他人も既婚の女性は「嫁」と呼ぶ。(40代)

地方圏において根深く続く伝統的結婚慣習や家意識は、20代の女性にも影響を及ぼし、受け入れがたいものとして感じられていることが伝わってくる。少子化の第一の原因が非婚化にあることが明らかになった近年、とくに、伝統的家族規範が残り、また深刻な人口減が続く地方圏では、結婚への圧力がより一層強くなることが予想される。

地方圏から東京区部へ移動する人々の心の中には、結婚の画一性からの脱却とライフスタイルの多様性への渇望があり、そうした考えを許容する環境が大都市圏にはある。彼女たちにとって東京区部はアジール(避難所)であり、それは今後も続くことが予想される。しかし……。

親との親密圏に向かうミドル期シングル

一般的に親密圏には変化のきざしが見られるとはいえ、依然として制度中心的な関係性が強く、家族制度や結婚制度から外れる親密な関係性が広まっているとはいえず、承認・保護する度合いも弱い。ミドル期シングルの女性は男性より、ひとり暮らしに適応し満足している。

というのは、女性はひとり暮らしに伴う経済的不安、孤独、犯罪に巻き込まれる不安、病気の不安を男性以上に感じやすい分、親やきょうだいと頻繁に連絡をとって、親子関係を軸に親密圏を築いている。しかも、友人や知人の数は男性を上回っていて孤立状態にある人がより少ないからだ。

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