若い世代に対し、大人が苦しい「説得」、あるいは「お説教」を試みている図式である。まあ、いい大人が「君たちの気持ちはよくわかる」なんてことを言い出したら、若者は素直に信じてはいかんだろう。あいにくZ世代は新聞など読んでいないだろうし、それこそTikTokなどで情報を得ているのかもしれない。そして流行のSNSが、中国やロシアの「反イスラエル」世論工作下にあるとの観測も絶えないところだ。
学生たちが言っていることには土台無理がある。彼らの要求どおり、アメリカの大学当局がイスラエルとの関係を絶ったところで、それで戦争を止める効果があるとは考えにくい。反ユダヤ武装勢力であるハマスのことを、まるで「いい人」たちのように勘違いしているのも困ったところだ。何より彼らが学業を妨害し、ほかの学生たちに迷惑をかけ、秩序を乱していることは責められるべきであろう。
カギ握る4000万人超のZ世代
もっと言えば、ベトナム反戦世代は本心では「俺たちのときは徴兵制があったんだ」(命懸けだったんだぜ。お気楽なお前たちとは違うんだよ!)と叫びたいところであろう。世代的に近い筆者としては、その気持ちはよ~くわかる。ただし彼らもまた、上の世代からひんしゅくを買っていたことは忘れてはならないだろう。
このあたり、人類が古来繰り返してきた「近頃の若いやつらは……」という嘆きの繰り返しであって、「世代間ギャップ」以外の何ものでもなさそうだ。そして年寄りの嘆きは、つねに歴史の闇へと消えていく。歴史は若い世代に味方するのだ。当たり前だよね。
現在の10代から20代のことを「Z世代」と呼ぶ。定義的には1996年から2012年生まれを指すことが多い。日本では数が少ないためか今ひとつ目立っていないが、全世界的に見ればとくに新興国では「人口爆発」の世代である。「デジタル・ネイティブ」な彼らは、やがて世の中を大きく変えていくだろう。
アメリカ選挙においても、Z世代は着実に存在感を増している。2020年選挙に比べても4年分有権者が増加しているから、Z世代の有権者は今年4000万人を超えて、全体の17%に達する見込みだ。
「若者は投票しない」と言われつつも、2020年選挙における30歳未満の投票率は50%となり、2016年より11ポイント増加したとのこと。うち6割がバイデン氏に投票したというから、当選の立役者と言っていい。
2024年選挙で彼らがどう動くのか。その答えは半年後にならないとわからない。
(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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