ホテルメッツ、宿泊者も気づかぬ「超地道な改善」 快適を極める「引き算」の妙、3つの点から探る

✎ 1〜 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 快適に必要と判断して「なくさない」ものもある。客室に設置するミネラルウォーターや、ロビーに設置する無料のコーヒーマシンだ。

この「なくす」「なくさない」の選択基準になっているのは、クチコミやアンケートの声。一つひとつを精査し、声が多いものは、まず1ホテルで実験的に減らしたり増やしたりして様子を確認する。そして好評であれば、チェーン全体に展開している。

全ホテルのロビーに設置している、無料のコーヒーマシン
全ホテルのロビーに設置している、無料のコーヒーマシン(写真:ホテルメッツ提供)

 街の記憶を宿すデザイン

2つ目の改善は、客室デザインだ。

近年、インバウンドの増加で客室単価が上がっていることもあり、室内をラグジュアリーなデザインに改装するビジネスホテルも多い。だがホテルメッツの客室が目指すのはあくまでも快適性だ。表面的な華やかさではない。そんな思いから生まれたのが、明るくナチュラルで、地域に特化したテーマに沿ったインテリアデザインである。

田んぼをイメージしたスクエア枠が並ぶ『JR東日本ホテルメッツ五反田』のロビー
田んぼをイメージしたスクエア枠が並ぶ『JR東日本ホテルメッツ五反田』のロビー(写真:ホテルメッツ提供)

 たとえば、『JR東日本ホテルメッツ五反田』は昔田畑が広がっていた地域のため、テーマは「田んぼ」。外観やロビー、客室の至るところに、田んぼをイメージしたスクエア枠が取り入れられている。

一方、『JR東日本ホテルメッツ横浜桜木町』は元々旧横濱鉄道の駅舎だった場所にある。そのため、テーマは「鉄道」だ。廊下のカーペットが線路柄になっていたり、現代の桜木町駅の写真が飾られていたりする。ただ、いずれもごくさりげないため、地域との関連性に気づかないゲストも多そうだ。

線路をイメージしたカーペットが敷かれている『JR東日本ホテルメッツ横浜桜木町』の廊下
線路をイメージしたカーペットが敷かれている『JR東日本ホテルメッツ横浜桜木町』の廊下(写真:ホテルメッツ提供)

「ホームページで少し説明しているホテルもありますが、知らずに訪れても、ほんのり心地よく、土地や街の雰囲気を感じていただけたらと思っています」と堀田氏。

次ページゴールはお洒落さではなく、快適性と居心地の良さ
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事