快適に必要と判断して「なくさない」ものもある。客室に設置するミネラルウォーターや、ロビーに設置する無料のコーヒーマシンだ。
この「なくす」「なくさない」の選択基準になっているのは、クチコミやアンケートの声。一つひとつを精査し、声が多いものは、まず1ホテルで実験的に減らしたり増やしたりして様子を確認する。そして好評であれば、チェーン全体に展開している。
街の記憶を宿すデザイン
2つ目の改善は、客室デザインだ。
近年、インバウンドの増加で客室単価が上がっていることもあり、室内をラグジュアリーなデザインに改装するビジネスホテルも多い。だがホテルメッツの客室が目指すのはあくまでも快適性だ。表面的な華やかさではない。そんな思いから生まれたのが、明るくナチュラルで、地域に特化したテーマに沿ったインテリアデザインである。
たとえば、『JR東日本ホテルメッツ五反田』は昔田畑が広がっていた地域のため、テーマは「田んぼ」。外観やロビー、客室の至るところに、田んぼをイメージしたスクエア枠が取り入れられている。
一方、『JR東日本ホテルメッツ横浜桜木町』は元々旧横濱鉄道の駅舎だった場所にある。そのため、テーマは「鉄道」だ。廊下のカーペットが線路柄になっていたり、現代の桜木町駅の写真が飾られていたりする。ただ、いずれもごくさりげないため、地域との関連性に気づかないゲストも多そうだ。
「ホームページで少し説明しているホテルもありますが、知らずに訪れても、ほんのり心地よく、土地や街の雰囲気を感じていただけたらと思っています」と堀田氏。
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