ドル/円相場は160円付近からピークアウトしているものの、154円付近で高止まりしている。
現状、円安抑止の処方箋としては、為替介入や利上げといった裁量的なマクロ経済政策を脇に置けば、①対内直接投資促進、②インバウンド奨励、③レパトリ減税などが議論の俎上に上がっている。
③の日本企業が保有する外貨を国内へ送金する際の法人税を減免する、いわゆるレパトリ減税案(レパトリエーション=本国送還)については、前回の寄稿「『円安』抑止のために今こそ日本がとるべき手段 還流促す『レパトリ減税』で米利下げまで時間稼ぎ」で詳述した通りだ。
だが、まだ世論が盛り上がっていない政策として筆者が注目する論点がある。
それは「NISA(少額投資非課税制度)国内投資枠の設置」という考え方だ。すでに始まっている現行制度での購入部分にメスを入れるのは難しいとしても、新規流入資金を国内へ誘導する努力は一考に値する。
円安の一因に「家計の円売り」
周知の通り、年初来の円安相場には新NISAに伴う海外株式の購入、いわゆる「家計の円売り」が寄与している側面も大きいと言われる。
財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)」に基づけば、投資信託経由の対外証券投資は今年1~3月期だけで約3.5兆円に達しており、これは過去10年平均の通年とほぼ匹敵する規模である。

それが主因かどうかはさておき、円安地合いに寄与しているのはほぼ間違いない。
過去の本コラムへの寄稿や拙著『「強い円」はどこへ行ったのか』では「家計の円売り」が過度な円安を促す展開を常々危惧してきた経緯があるが、そのシナリオは半ば実現しつつあるように感じる。
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