部品サプライヤーとの協業の具体例として、ホンダ中国の副総経理(副社長に相当)を務める宮原哲也氏は、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の社名を挙げた。
「燁シリーズにはファーウェイが開発した(立体的な映像を表示できる)ライトフィールドディスプレーを採用する。ファーウェイとはその他の分野の協力についても話し合っている」(宮原氏)
中国の自動車市場では、EVシフトに付随してクルマのスマート化が急速に進行。消費者のマイカー選びでは、より高度なスマート機能を持つEVやPHV(プラグインハイブリッド車)を選ぶケースが増えている。
「EVやPHVの市場シェアが上昇し続ける中、中国のエンジン車の市場は急速に縮小している。ホンダとしては、この状況に素早く適応しなければならない」。五十嵐氏はそう強い危機感を示した。
エンジン車の軟着陸も課題
中国市場のEVシフトへの対応が(中国メーカーに比べて)出遅れたことに関して、五十嵐氏はそれを率直に認めるとともに、エンジン車メーカーの戦略転換の難しさも漏らした。
「自動車メーカーの経営は、EVやPHVの推進ばかりでなく(既存の)エンジン車事業にも目配りしなければならない。例えば(エンジン車の)生産能力を削減すべきかどうかなども、非常に重要な経営課題だ」
ホンダはこれまで、広汽ホンダと東風ホンダという2つの合弁企業を主軸に中国事業を展開してきた。販売の大半は今もエンジン車であり、2023年の中国市場での総販売台数は約123万4000台と前年比10.1%減少した。
日本経済新聞の報道によれば、ホンダは中国工場の生産能力を2割削減する意向とされ、合弁会社の中国側パートナーと協議しているという。
ホンダ中国の宮原氏は財新記者の質問に対し、生産能力削減の具体的な計画について明言するのを避け、「エンジン車とEVの生産能力(の増減)は市場の変化に合わせていく」と述べるにとどめた。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月16日
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