「低迷WOWOW」と「最高益スカパー」分かれた明暗 苦境の有料放送で契約件数はともに続落だが…

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「スカパー社が長期にわたる加入者減に対して効果的な対策を打ち出していない」「(スカパー!の)現場担当者から諦めムードが出ている」

衛星放送協会のシンクタンク、多チャンネル放送研究所が3月21日に開催した研究活動報告の発表会。そこでは、放送事業者からの生々しい指摘が紹介された。

スカパー!の放送プラットフォームに依存する事業者からすれば、番組を視聴する会員を増やすためにスカパーJSATによるマーケティング強化を期待したいところ。一方のスカパーJSATにとっては、前述のような成長シナリオを描く中で、メディア事業に積極的なプロモーションをかけづらいといったジレンマがある。

米倉社長は「宇宙衛星ビジネスで稼いだお金をメディアに回していく、というのがわれわれの1つの回答だ。ただ、テレビCMをみて加入しようという人は減ってしまっているのも現実」と、複雑な胸の内を打ち明ける。

ショッピングチャンネル化する衛星放送

WOWOW、スカパー!といった有料チャンネルに限らず、衛星放送を取り巻く状況は厳しい。

3月末にはNHKが、事業再編の一環でBS103ch(旧BSプレミアム)の放送を終了(停波)する予定だった。ただ同チャンネルは、1月に発生した能登半島地震で地上波放送が見られなくなった被災地域のために使用されており、4月以降も放送が継続されている。

ある業界関係者は「災害の観点からしても、このまま本当にやめていいのか」と疑問を投げかけたうえで、「衛星放送の多くが、今や通販番組ばかりの“ショッピングチャンネル”と化している。NHKの一部チャンネル終了が、衛星放送全体のさらなる衰退につながる可能性がある」と指摘する。

業界全体が沈みゆく前に、起死回生の策を打ち出すプレーヤーは現れるのか。先行きは視界不良だ。

東洋経済オンラインでは、デジタル特集「テレビ局サバイバル」にて、会員向けに下記記事も配信しております。
2割が赤字、テレビ局127社「営業利益」ランキング
王者・日テレが乗り出した「テレビCM改革」の衝撃
髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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