新幹線だけではない「鉄道・運輸機構」の仕事とは? 「JRとは違う」藤田理事長に直撃インタビュー

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――たとえば北陸新幹線なら金沢から敦賀まで延伸するというおおまかなルートは国が決めますが、詳細なルートは誰が決めるのですか。

事業化が決まれば、そこからが私たちの仕事です。調査や環境アセスメントを行って、ルートや駅の位置を決めます。具体的なルートは自然条件、地質、地形などを勘案します。人家、集落はなるべく避けるといった社会的な条件も考慮します。

北陸新幹線 延伸
2024年3月に延伸開業した金沢―敦賀間の高架線を走る北陸新幹線(編集部撮影)

――土地の買収交渉も行う?

もちろん。用地買収だけでなく、関係者と協議を重ね、地元の方々に理解していただくことも含めて私たちの仕事です。

――トンネル工事にはシールド工法やNATMなどいろいろな種類がありますが、どの工法を採用するかも決めるのですか。

そうです。地質などの状況を考えながら私たちが決めています。

JRやゼネコンとの関係は?

――工事現場ではゼネコンも活躍しています。JRTTとゼネコンの役割分担は?

JRTT 藤田理事長
鉄道・運輸機構理事長・藤田耕三(ふじた・こうぞう)⚫︎1959年生まれ。1982年東京大学法学部卒業後、運輸省入省。国土交通省大臣官房総括審議官、鉄道局長、総合政策局長、大臣官房長、国土交通審議官、国土交通事務次官、損害保険ジャパン顧問を経て、2023年より現職(撮影:尾形文繁)

設計、発注、施工管理を行うのが私たちで、ゼネコンさんが実際に工事を行います。ゼネコンに限らず、電気の会社、設備関係の会社などさまざまな企業がプロジェクトにかかわっています。それをトータルでマネジメントしてプロジェクト全体を進めるのが私たちの仕事です。

――JRが工事に注文をつけることはあるのですか。

運行ダイヤを想定しないと駅や車両基地の設計ができないので、計画段階からJRの要望を聞きます。例を挙げれば、整備新幹線は時速260kmの規格で造りますが、JR北海道は今JR東日本が東北でやっている時速320km運転を北海道でもやりたいということで、JR北海道に追加の費用負担をしてもらって私たちが施工しています。このようにJRとは密接に連絡を取り、実際に運転するときの状況を考えながら計画しています。

――駅舎のデザインは?

私たちがデザインやコンセプトを地元の市町村に複数案をお示しして、その中から地元で選んでいただき、それを元に具体的な作業に入ります。なるべくその地域を反映するような特徴的なデザインにしたいと思っています。

――全国のあちこちでお仕事しているのですね。

整備新幹線の現場は全国にあります。2022年秋に長崎と武雄温泉を結ぶ西九州新幹線が開業して九州の仕事はピークを越えました。その後、北陸新幹線の金沢―敦賀間の工事が佳境を迎え、3月に開業しました。そして今度は北海道新幹線に注力しているわけです。現場が移るたびに、私たちも全国をあちこち移動しながら働いています。

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