ツイッター閲覧制限は「崩壊の序章」かもしれない 続く迷走にユーザー翻弄、安住の地探し移動も…

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マスク氏は制限の理由として、「極度のデータスクレイピングとシステム操作」への対処を挙げている。

データスクレイピングとは、データを抽出したうえで、扱いやすく加工することを指す。ツイッターには、外部とのサービス連携をしやすくする接続部のような「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」機能が備わっている。

しかし、APIを通さずに、機械的かつ大量にデータ収集しようとする動きがあり、それを牽制すべく強硬手段に出たと、マスク氏のツイートからは読み取れる。

ツイッター
出所:ツイッター

なお、その後7月5日になって、ようやくビジネス向けの公式ブログで経緯が説明された。

予告なく制限を行ったのは「事前に告知を行えば、悪質業者は検知を逃れるために行動を変えることができるから」(以下、日本語版ブログからの引用)だと釈明。ユーザーの影響は「ごく一部」かつ、広告主への影響も「最小限」だとしながら、「ほんの一瞬でも、スピードアップのために速度を落とさなければならないこともあります」と理解を求めている。

マスク氏の「ツイッター改革」

マスク氏の発言を受け、ユーザーからは、一連の背景に「API有料化」があるのではと指摘されている。ツイッターは2月、これまで無料だったAPIに課金すると発表。現在はFree(無料)、Basic(月間100ドル=約1万4000円)、Pro(月間5000ドル=約72万円)、Enterprise(料金非公開)の4プランで展開されている。

マスク氏は昨年秋のツイッター買収から、収益力の向上を図っていて、API有料化もその一環だ。しかし今回のように、企業相手の商売を理由に振り回されるとなれば、一般ユーザーにとっては「とばっちり」でしかない。どれだけデータスクレイピングを責めても、その是非は議論にならず、ただ単に「暴君イーロンのご乱心」と冷めた見方が広がるばかりだ。

マスク氏の「ツイッター改革」に対しては当初、日本のユーザーは好意的だった。買収直後の昨年11月、筆者は本サイト(東洋経済オンライン)のコラムで、それまでの運営体制では「なぜ、この機能を実装・変更するのか」が明確に説明されていなかったとして、「ユーザーが考える『あるべきツイッター空間の姿』と、現状がかけ離れていると認識し、マスク氏を『救世主』だとみなしている可能性」を示していた。

それだけにユーザーは、期待ハズレな印象を抱いているはずだ。API有料化をめぐっても、高額な利用料を払えないサードパーティー(公式ではない第三者)によるサービスが、続々と閉鎖に追い込まれた。採算が取れずツイッターそのものが終了してしまうと本末転倒なのだが、「『俺たちのイーロン』が、ツイッター文化を守ってくれる」と持ち上げていた向きには、失望を与えているだろう。

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