香港の労働力不足が深刻化している。あらゆる業種で人手が足りず、状況は厳しくなる一方だ。
そんななか、香港政府は労働力が特に足りない建設業と運輸業を対象に、香港域外(訳注:中国本土と外国)から労働力を移入するプログラムを打ち出した。6月13日に発表された計画によれば、建設業に最大1万2000人、運送業に最大8000人の合計2万人を呼び込む。
香港では人口の高齢化とともに、労働力人口の構造的な減少が進んでいる。非香港籍の労働者を除いた労働力人口は、2018年の368万人をピークに減少に転じ、2022年末時点では346万人と4年で6%減少した。セクター別では労働集約型の業種、とりわけ建設業と運輸業の不足が際立つ。
「人手不足がボトルネックになり、香港の(新型コロナウイルスの影響からの)復活や経済発展、市民生活の質の維持が阻害される状況を、政府としては看過できない」。香港政府の財政副長官を務める黄偉綸氏は、記者会見でそう述べた。
待遇は香港籍労働者と同等以上
香港域外からの労働力の大量移入は、香港籍労働者の雇用条件を悪化させる懸念もある。それに対して黄氏は、次のように強調した。
「今回の労働力移入プログラムは、人手不足を口実に安い労働力を呼び込むものではない。域外から移入する労働者に支払う賃金は、香港の法定最低賃金ではなく、同等の職能を持つ香港籍労働者の賃金の中央値以上を基準にするよう定めた」
香港政府統計局のデータによれば、公共工事に従事する建設労働者の2022年の日当は平均1000香港ドル(約1万7836円)を超える。職種別では塗装工が平均1307香港ドル(約2万3312円)、溶接工が同1433香港ドル(約2万5560円)だった。
とはいえ、今回の労働力移入プログラムが実施されても、加速する人手不足への緩和効果は限定的と見られている。建設業の業界団体である香港建設業協議会は、熟練工や半熟練工、建設技術者の不足人数が2027年までに4万人に拡大すると予想している。
(財新 駐香港記者:文思敏)
※原文の配信は6月14日
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