初版100万部｢BTS自叙伝｣発売前でベストセラーに ファンダムが設立された7月9日に発売

BTSの強力で、極めてオンライン的なファンダムは世界的に有名で、CDなどが発売されるたびに複数バージョンを購入し、複雑に連携したソーシャルメディアキャンペーンを実施してグループをサポートすることで知られている。また、BTSのコンテンツを英語やその他の言語に翻訳して助け合うことで、ファンたちは強固なファンコミュニティを築いている。

BTSの影響力は、音楽界だけでなく、それ以外の分野でも過大評価されることはないだろう。昨年、RM、ジン、SUGA、J-Hope、ジミン、V、ジョングクの7人のメンバーはホワイトハウスを訪れ、アジア系アメリカ人のヘイトクライムに反対する演説をした。

ビートルズに並ぶ記録

2013年以降、BTSは9枚のアルバムと6枚のEPをリリースし、K-POPを世界的に支配的な存在にすることに貢献してきた。2018年、BTSは『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』でビルボードのアルバムチャートで1位を獲得した初のK-POPアクトとなった。この偉業を2019年に『LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’ 』と『Map of the Soul: Persona』で2度繰り返した。これは、ビートルズが打ち立てた記録と並ぶ。

2022年6月、3枚組コンピレーションアルバム『Proof』でさらに1位を獲得した後、BTSはSNSで、メンバーがソロの創作活動に専念できるようにグループの活動休止を発表する動画を公開した。この動画は、2日間で1600万回以上の再生回数を記録した。昨年10月、BTSの所属レーベルは、メンバーが韓国の法律で定められた軍隊に入隊することを確認した。すでに入隊したメンバーもいる。

グループによる活動休止は、BTSの熱狂的なファンだけでなく、エンターテインメント業界にとっても壊滅的なニュースだった。このニュースが流れた翌日、BTSを擁する韓国のエンターテインメント企業、HYBEの株価は28％下落し、その時価総額は17億ドルも削られた。グループの人気が高まるにつれ、韓国経済の柱となり、2020年までに年間35億ドル貢献したと見られている（ヒュンダイ・リサーチ・インスティテュート調べ）。

多くのファンは、BTSの音楽とパフォーマンスに惹かれる一方で、愛と受容のメッセージに触発され、政治的な活動をするようになった人もいる。

「彼らは本当に、本当に情熱的で、自分たちが愛するもののために戦う人たちです」と、BTSのデータに関するツイッターアカウントを運営するファンのニコール・サンテロは、2020年にニューヨーク・タイムズ紙にこう語っている。「彼らの特性は社会的な問題に目を向けるとよく理解できます」。

（執筆：Kate Dwyer記者）
（C）The New York Times