東洋経済オンラインとは
ビジネス #日銀 宴の終焉

日銀の政策修正が示す「経済学の敗北」という事実 黒田総裁が心酔した「中央銀行万能論」の問題点

5分で読める 有料会員限定

INDEX

【写真右:ジョン・メイナード・ケインズ】ケインズは不確実性の下での総需要不足の経済を分析し、貨幣数量説を否定した(写真:Mary Evans Picture Library/アフロ) 【写真左:ミルトン・フリードマン】フリードマンは1960年代以降、「マネタリズム」の名で貨幣数量説を表舞台に戻した(写真:Ullstein bild/アフロ)

日本銀行の異次元金融緩和は終わり、正常化に向けた道筋へ舵を切ろうとしている。それは、黒田日銀の政策に正当性を与えた経済学の敗北でもある。

黒田日銀は、どのような経済学の知見の下、異次元緩和を展開し、何がうまくいかなかったのか、振り返ってみよう。

主流派経済学の一角を占めるニューケインジアン学派は、中央銀行が目標インフレ率を設定してコミットすれば、人々の期待に働きかけて市場の予想インフレ率を目標値に収斂させ、結果的に実際のインフレ率でも目標を達成できると主張する。つまり、中銀こそが物価や予想インフレ率のアンカーだという考え方だ。当初、黒田日銀がサプライズを重視し「人々の期待に働きかける」といったメッセージを強調したのもこれが理由だ。

「中央銀行万能論」の背景

ではなぜニューケインジアンは、中銀がインフレ目標にコミットすれば人々の予想インフレ率が変わると主張するのだろうか。背後にあるのは、18世紀後半の古典派経済学の時代から続く「貨幣数量説」という仮説だ。簡単に言えば、社会に流通する貨幣量が物価水準を決定するというものである。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象