カレーに「福神漬」を入れる人が知らない"真実" いつから付け合わせに?背景を探る【前編】
こうして客は阪急のファンとなり、やがて懐が豊かになると、阪急百貨店で買い物をするようになります。目先の利益よりも長期的なロイヤリティを優先する、小林一三の経営センスをあらわすエピソードとして、この逸話は有名になります。
作家阪田寛夫の評伝『わが小林一三 清く正しく美しく』によると、この「ライス・オンリイ」は、ソースでご飯を食べるため「ソーライス」、あるいは福神漬でご飯を食べるため「福神漬ライス」の通称で呼ばれていたそうです。
福神漬はすべてのライスのお供だった
阪急百貨店のカレーライスに福神漬がついた理由は、単純明快なものでした。ステーキの付け合せのライス、貧しい客の「ライス・オンリー=ソーライス」、すべての洋食のライスに福神漬がついていたので、カレーライス「にも」ついたのです。
福神漬はカレーの付け合わせではなく、洋食の「ライスのお供」だったのです。
それではなぜ、阪急百貨店はすべての洋食のライスに福神漬をつけたのでしょうか? この理由も、単純明快なものです。
阪急百貨店の先輩にあたる三越百貨店などのデパートの食堂、須田町食堂などの大衆食堂チェーンなど、東京の大手外食店の洋食のライスにはすべて、福神漬がつけられていたのです。
阪急百貨店がすべての洋食のライスに福神漬をつけたのは、当時としては「あたりまえのこと」、業界の一般的慣行だったのです。
東京では大正時代から、大手外食店の洋食のライスに福神漬がつくようになりました。なので、カレーライスにも福神漬がつくようになったのです。
それはなぜなのでしょうか? そして戦後になって、なぜカレーライス以外の洋食のライスから福神漬が消えたのでしょうか?
なぜカレーに福神漬がついたのか(後編)に続きます。
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