スクープ、「目黒雅叙園」2000億円規模で売却か 15年に中国政府系ファンドが約1430億円で取得

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雅叙園の運営会社はバブル期の投資が痛手となり2002年に破綻、債権を買い取ったアメリカの投資ファンド、ローンスターが新たなオーナーとなった。ローンスターは2014年8月、雅叙園を森トラストに約1300億円で売却。5カ月後の2015年1月、森トラストはCICに約1430億円で転売した。

CICはもともと森トラストと共同でローンスターから雅叙園を取得する予定だったが、機関決定が間に合わず断念。やむなく森トラスト単独での取得となり、売却先を探していたところCICが改めて名乗りを上げた。

複数の関係者によれば、ラサールインベストメントマネージメントは2021年ごろから売却を模索。今月に入ってアドバイザリー業者の選定活動を本格化させた。売却額は2000億円規模となる見方が出ている。

賃料引き上げや建て替えが実現すれば

アルコタワーおよびアネックス棟の中核テナントであるアマゾンジャパンは、オフィス市況の回復を受け、前回の売買時である2015年当時よりも高い賃料で賃貸借契約を結んでいるとみられる。賃料の上昇分だけ、利回り換算での売却額は膨らむだろう。

売却額を占ううえでは、敷地内のホテルの動向もカギを握りそうだ。運営会社が締結している定期借家契約では、賃料が相場よりも安い。買い手の投資家が賃料を適正水準に引き上げたり、建て替えて高層化を図ったりすれば、収益拡大が十分見込める。

CICの意向によっては最終的には売却が中止される可能性も残るが、すでに不動産ファンドなどが関心を示しているもよう。不動産へのマネーの流入はまだまだ続く。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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