拝啓、「若手は褒めればいい」と信じる大人の皆様 Z世代の複雑すぎる承認欲求を知っていますか
ある企業のマネージャーが「最近の若手は営業表彰されるのが嫌い」だと嘆いていました。まさに吉澤くんと同じように“出る杭は打たれやすく、陰でどうこう言われるのが面倒だから”だそうです。目標を達成したときには、ガッツリ賞賛を贈る。極端に周囲の目を気にする今どきの若者とっては、これがインセンティブにはならず、むしろ迷惑に感じるのです。
煙幕を張りながら自己アピール
こうした意識は、明らかにSNSの影響があります。SNSによって、自分アピールができるようになった反面、アピールが強すぎると、そのSNSで叩かれる。いわゆる炎上とかオンラインの誹謗中傷というやつです。しかも昨今、この負の側面は、どんどん深刻になってきています。
友達に認めてもらいたくて仕方ないけど、自分アピールが強すぎると逆に叩かれる。これが、若者の最大の恐怖です。だから、能天気に投稿をするのは憚られます。うかつに投稿して「出た、リア充アピール」「意識高い(笑)」「人と違う自慢、ウザい」などと、書き込まれたら致命的。
常に誰かに見られているリスクを念頭に置いたうえで、気づかれないように自己を発散すべく投稿する。彼らは極めて高度なコミュニケーションスキルを研ぎ澄ます必要に迫られているのです。
この代表例が「匂わせ」でしょう。ご存知のように、「匂わせ」とは事実を明言せずに、見た人がそれとなく気づくような何かを匂わせる行為のことを指す言葉です。
SNSやブログなどで、恋人がいるという事実を明言はしないものの、手をつないでいる写真などを投稿することで、交際を間接的に匂わせる。こうした恋愛関係のシーンでよく活用されます。アピールしすぎもマズいから、煙幕を張りながらさり気なく自慢する。そんな状況下で編み出された投稿の形態が、こうした「匂わせ」なのです。
SNSによって増幅された「承認欲求」と「周囲への忖度意識」。その中で葛藤する自意識。これが、今どきの若者を理解しにくくしているものの正体です。なんだかとても複雑で、やや気の毒な気もしてきます。
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