外商ビジネス再興への難題 富裕層消費に懸ける百貨店
コロナ禍で苦境の百貨店にとって、富裕層消費は唯一の光明だ。
高級ブランドの衣料品に宝飾品、時計、美術品──。
国内の百貨店で、高額品の販売が空前の活況を呈している。コロナ禍で百貨店の来店客数は低迷が続いており、大手各社の売り上げはコロナ前に当たる2019年度の7〜8割程度の水準であるにもかかわらず、だ。
「高額品消費の勢いはまったく衰えない。コロナ禍で踏んだり蹴ったりだが、唯一の光明だ」。ある百貨店関係者はそう言って目を細める。
百貨店店舗で全国2位の売り上げを誇る阪急うめだ本店(大阪市)では、21年4〜9月の高級ブランドの売り上げが前年同期比で4割増えた。牽引役は、富裕層顧客に対し特別なサービスを提供する外商部門だ。同部門における500万円以上の商談件数は前年比で5割増え、在宅時間を充実させるための高級家具などが富裕層に人気だという。
J.フロント リテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店でも高級ブランドの売り上げが絶好調。19年度と比べても2割増えている。ある大手百貨店では、外商顧客向けの催事を関東と関西でそれぞれ1日間開催したところ、過去最高となる合計約100億円の売り上げがあったという。
外出自粛や店舗休業などの影響で20年度に数百億円単位の赤字を計上した百貨店各社にとって、富裕層消費は大げさではなく“光明”なのだ。
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