[Profile] うちだ・りょう 名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。博士(教育学)。教員の働き方、部活動、スポーツ事故や組み体操事故、2分の1成人式などの教育問題について広く情報発信している。著書に『ブラック部活動』『教育という病』などがある。
中学校の部活動は多くの人が経験する。それだけに個人の体験から語られがちな領域でもある。地獄のような日々の思い出しかない者もいれば、青春の美しい1ページ、いや青春そのものと捉えている人も少なくない。
評者自身は典型的な前者で「なんで土日も部活三昧なんだ」「別にプロになるわけではないし」と毎日の練習が苦痛でしかなかった。当時は周りを見渡しても、誰もが部活動に有無を言わさず参加させられ、教員もそれを是としていた。なぜ、誰も声を上げないのか、それほど部活動は尊ばれるべきものなのか。こうした二十年来の疑問に編著者の内田良は「はじめに」で明確に答えてくれる。
彼は、「部活動の研究者は皆無に等しい。それもそのはずで、部活動は『教育課程外』、すなわち『やってもやらなくてもいい』活動だからである」といい、「むしろ『やってもやらなくてもいい』からこそ、そこに部活動の課題が潜んでいると表現すべきであろう」と指摘する。制度外だからこそ教員の裁量が大きく、活動も過熱しがちなのだろう。
だが、「ただ働き」の部活動になぜ、多くの教員がのめり込んでしまうのか。本書は、2017年に22都道府県284校の中学校の全教職員8112人を対象に実施した質問調査の回答のうち3182人分を基に、部活動を取り巻く現状を多角的に分析している。
例えば、教員の部活動への姿勢。アンケートのある設問では、約60%が部活動の成績よりも生徒が楽しんでいるかを重視すると答えた一方、別の設問では、約75%が顧問をする部の成績を向上させたいと答えた。「生徒が楽しめればいい」と考えながらも、大会などで好成績を残すことで、知らず知らず指導に力を入れるようになっていくアンビバレントな状況が示された。
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