[Profile] みやざき・とおる 東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター分子病態医科学教授。1986年東京大学医学部卒業。熊本大学大学院、仏ルイ・パスツール大学研究員、スイス・バーゼル免疫学研究所、米テキサス大学免疫学准教授などを経て2006年から現職。
ネコ好きの人はもちろん、そうでない人にとっても朗報だ。ネコを飼った経験のある方はご存じかもしれないが、ほとんどのネコは老齢になると腎臓病にかかり、その多くは長く苦しんだ末に死んでしまう。しかし今、この腎臓病を治すための研究が進んでいるという。
もしこれが実現すれば、ネコの寿命は現在の2倍、30歳程度まで延びる可能性がある。それだけでなく、ネコを対象としたこの研究の成果により、ヒトの病気の治療にも明るい展望が開け始めているのだ。
本書では、これまでの医療では「治せない」といわれてきた病気を治すことができる分子「AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)」の発見と、それを実際の医療に活かすための研究の過程がきわめてわかりやすく紹介されている。
そもそもAIMとは何か。ひと言でいうと血液の中に数多く存在するタンパク質の一種である。その役割は長いこと不明だったが、死んだ細胞を掃除するための要となるタンパク質であるとわかった。
では、なぜAIMが病気の治療に役立つのか。現在治せないといわれている腎臓病、自己免疫疾患、アルツハイマー型認知症などの病気には、ある共通点がある。それは、身体から出た何らかの「ゴミ」が溜(た)まった結果として病気が発症する、というメカニズムだ。AIMはそうした「ゴミ」を片付けることによって、病気を抑えるのだという。
人間の身体にはもともと、死んだ細胞を片付ける貪食作用というプロセスが備わっている。AIMは「ゴミ」に特異的にくっつき、それを貪食細胞に効率よく食べさせる。掃除を促すということだ。
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