2050年カーボンニュートラル(脱炭素化)実現の切り札と目される洋上風力発電ビジネスが本格化する。10月下旬から11月にかけて、千葉県・銚子沖、秋田県・能代市沖などの競争入札の結果が判明する見通しだ。これら数十万キロワットクラスの大規模案件の入札には電力会社や大手商社、大手ゼネコン、海外の発電企業などが参加している。
洋上風力が注目されるのには理由がある。1海域当たりの投資額が数千億円に上るうえ、基地港湾や電力ネットワークの整備、専用船の建造などで莫大な経済波及効果が期待できるためだ。
洋上風力で使用される大型風車の部品点数は1万点以上といわれ、サプライチェーンの広がりは自動車産業や航空機産業に比肩する。先行する英国は2019年に洋上風力に関する産業戦略を策定し、26年までに関連産業で4万人以上の雇用創出を見込む。
日本も英国に倣い、経済産業省と国土交通省が産業界やエネルギー業界と連携して産業競争力強化に向けた官民協議会を設立。昨年12月に「洋上風力産業ビジョン」が取りまとめられた。
野心的な戦略の成否
同ビジョンでは、政府は30年までに1000万キロワット、40年までに3000万~4500万キロワットの案件を形成すると明記。民間側では40年までに部品や部材の国内調達率を60%にすることや、着床式洋上風力の発電コストを30~35年までに1キロワット時当たり8~9円に引き下げるとのコミットメントが盛り込まれた。固定価格買い取り制度に基づく21年度の着床式の買い取り価格である32円から、3割以下の水準に引き下げる。
もっとも、このような野心的な目標の達成は容易ではない。
陸上風力では日本の風車メーカーの敗退とともに、関連産業の生産規模も大幅に縮小。風力発電機器産業の売上高(国内生産分)は09年度の2513億円から18年度には83億円へと30分の1以下に激減している(09年度は日本産業機械工業会、18年度は日本電機工業会調べ)。
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