米軍の撤退を契機に、イスラム原理主義組織タリバンが20年ぶりにアフガニスタンを奪還したが、これが東アジアに思わぬ波紋を呼んでいる。とくに、米軍のプレゼンスが高い韓国では、あっさりと撤退してしまう米国の行動を見て自国の安全保障を今後どうするべきか、議論が沸騰している。
約3万人の米軍が駐屯する韓国では、アフガン情勢と米バイデン政権の外交姿勢について戦々恐々としている人もいれば、「自主国防の強化」を叫ぶ人もいる。さらには北朝鮮との統一のためには米軍撤退は好都合と考える人もいる。
国政について左右両論、極端に二分されやすい韓国らしい。とくに現在の文在寅(ムンジェイン)政権は左派であり、反米・親北朝鮮的で、米軍の存在を否定的にみる傾向がある。彼らは撤退する米軍に失望したか、あるいは「それみたことか」とさえ考えているだろう。
アフガン情勢と朝鮮半島情勢は、その根本から違うのでそのまま比較することは適切ではない。しかし、ちょうど8月上旬、米韓合同軍事演習の実施に反対し、北朝鮮・朝鮮労働党副部長で金正恩(キムジョンウン)総書記の実妹である金与正(キムヨジョン)氏が「米国が南朝鮮(韓国)に展開した侵略武力と戦争装備から撤去すべきだ」と述べたところだった。
またタリバンが奪還した直後、米ブッシュ(子)政権の元高官が「韓国も米国の支援がなかったら、アフガンと同じ運命をたどったであろう」と主張した。こうなると、北朝鮮を警戒し米国との同盟のさらなる強化を訴える保守層の主張も熱を帯びてくる。
戦時作戦統制権の移管
しかし、アフガン撤退に関わる左右の主張対立は、思わぬ統合をもたらす可能性がある。それは、米韓両軍に横たわる「戦時作戦統制権」の問題だ。
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