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『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』 一緒に走りながら考えたマラソン王国繁栄の秘密

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ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと(マイケル・クローリー 著/児島 修 訳/青土社/2420円/320ページ)書影をクリックするとamazonのサイトにジャンプします。
[Profile]Michael Crawley フルマラソン2時間20分53秒のタイムを持つ人類学者、作家。英ダラム大学人類学准教授。

もう20年以上前になるが、ある芸人が自身の持ちネタのオチに「アフリカの運動会ではいつも世界新記録が出る」というようなセリフを使っていた。そんなことを、本書を読んで思い出した。

今の基準で批判しようというのではない。ただ、そのネタには私たちが現在も抱きがちなステレオタイプが表れていたと思う。ネガティブなニュアンスではなかったが、アフリカの子なら身体能力が優れているはずだという思い込みが根底にあっただろう。

現在、世界トップクラスの長距離走者は、エチオピアやケニアなど東アフリカに集中している。東京五輪の男子マラソンでも、ケニアのエリウド・キプチョゲ選手が圧倒的な強さで連覇を果たした。

なぜ彼らは強いのか。「生まれつき才能に恵まれているから」と考える人も多いのではないだろうか。「子どもの頃から山道を走って鍛えられている」、「貧しさから抜け出そうとするハングリー精神がある」といった理由を挙げる人もいるかもしれない。だが、これらのステレオタイプは表面的なものにすぎない。

本書の著者は、英国の人類学者で、自らもフルマラソンを2時間20分で走るランナーだ。彼は、ランニング王国エチオピアに1年3カ月にわたり滞在した。なぜ世界トップクラスの長距離走者が輩出されるのか、その秘密を解き明かすためだ。

著者は「参与観察」という調査手法をとった。エチオピアのランナーと一緒にとてつもなくハードな練習をこなしながら、彼らの強さの秘密に迫ったのだ。本格派のランナーである著者だからこそ可能になった荒技である。エリートランナーたちに必死で食らいつき見えてきた強さの秘密は、意外なものだった。

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