東京電力・福島第一原子力発電所事故における国と東京電力ホールディングスの法的責任を問う訴訟が、最高裁判所で争われることになった。
これまで国は、東電に対して津波対策の不備を理由に原発の運転停止を命じる権限はなく、原発の敷地の高さを上回る津波の到達を予見することもできなければ、原発が浸水して全電源を喪失するといった事態を回避するための有効な方策もなかったと主張してきた。
仙台高等裁判所で争われた「生業(なりわい)訴訟」の判決(2020年9月30日)は国の主張を退け、原告住民の全面勝訴となった。しかしながら、21年1月21日の「群馬訴訟」の東京高裁判決では国の責任が否定される結果となった。一方、「千葉訴訟」の東京高裁判決(21年2月19日)では、生業訴訟と同じく国の法的責任が認定された。
このように高裁では判断が分かれる結果となったが、3訴訟はいずれも最高裁で争われ、司法による統一的な判断が示されることになりそうだ。
史上最大の公害の責任
3訴訟には通常の損害賠償訴訟とは異なる重みがある。生業訴訟原告弁護団の馬奈木厳太郎事務局長は、東日本の広範囲を放射能で汚染し、住民の生活を破壊した福島原発事故を「日本最大の公害」と位置づける。
「公害の被害者たる原告が何よりも望むのは原状回復、すなわち元の暮らしを取り戻すことにある。賠償はあくまでも次善の救済策にすぎない」(馬奈木氏)と言う。そのうえで、国の原発事故に関する法的責任を認めさせることによって、賠償対象の拡大や賠償額の引き上げを果たし、「提訴した原告はもとより、提訴をしていない人も含めてあらゆる被害者の救済を目指す」(同氏)。そして、二度と同じような被害を繰り返さないためにも、「脱原発」につなげることを目的としている。
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