推薦者|東京大学大学院 工学系研究科 教授 松尾 豊

AI(人工知能)と人間のあり方が将来的にどう行き着くかを知るには、『サピエンス全史』の下巻に書かれている内容を読むのがいちばんだ。
AIと人についてしっかりと語っている本は少ないが、(遺伝子工学やヒューマンブレーン、人間強化問題に触れた)最終章の「超ホモ・サピエンスの時代へ」は完全に正しい見方をしている。生命の法則を変える技術が生まれるとわかっている人は言ってこなかった。しかし、それに踏み込んで言及している。
末尾には、「この疑問に思わず頭を抱えない人は、おそらくまだ、それについて十分考えていないのだろう」とある。生命科学の技術が進歩すれば戦場で戦っても痛みを感じない強化人間もつくれるし、仕事し続けることが幸せだという人間もつくれる。われわれは人類の進化に基づいた価値観で考えていたが、そうした新しい価値観を持つ人類が現れたときどう考えるべきかを、著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は突きつけているのだ。
AIがゲノム編集など生命科学を推進する力になることは間違いない。医療界でもAIで画像診断する技術などが確立されている。
『DEEP MEDICINE』はAIを使った最先端の医療技術について書かれた本だ。ただ、最後の部分には、AIの活用によって削減できた時間を医者と患者との対話の時間に充てるべきだと書かれている。技術が進んでも、人間にとって大切なことは何か、何を目的にするかに触れており、非常に正しい方向だと感じている。
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