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『土葬の村』 消えゆく弔いの習慣 忘却されていく情景

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土葬の村(高橋繁行 著/講談社現代新書/1100円/320ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] たかはし・しげゆき 1954年、京都府生まれ。ルポライターとして葬式、笑い、科学、人物を主要テーマに取材・執筆。高橋葬祭研究所を主宰し、死と弔い関連の著書多数。近著に『お葬式の言葉と風習──柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典』。

本書を数ページめくっただけで、2つの驚きがあった。1つは、火葬が当たり前とされる今日でも、まだ土葬というスタイルが残っていたこと、2つ目は、その土葬がここ数年急激に減少しており、今まさに消えようとしていることだ。

意外なことに、国の定める墓地埋葬法では、土葬が禁じられているわけではない。しかし、ここ半世紀ほどの間に、全国で火葬場が整備され火葬が一気に広まった。現在、日本の火葬率は99.9%以上と世界1位だそうだ。

21世紀に入って著者は本格的に調査を開始した。その時点で、土葬の残る地域は限られており、またそれらは、地理的に近いエリア内に固まっていた。奈良盆地の東側の山間部一帯と、隣接する京都府南山城村である。これらのエリアでは、当時村全体の8〜9割が土葬を行っていた。それがここ数年で、消滅の危機に直面しているという。

古代、中世から1000年以上続いてきたとされる土葬。本書は、土葬に近年何が起こったかを明らかにし、日本の伝統的な弔いの文化を記録として残した1冊である。

土葬を行う地域の風習でなにより特徴的なのは、「野辺送り」だ。死者を埋葬地へ送る際に、野辺の道で長蛇の葬列が組まれる。遺族から一般の村人までが参列し、白い幟(のぼり)が風に舞い、村人が手作りした葬具を野道具として携え、死者の棺(ひつぎ)を担いで歩く。

地域差はあるものの、棺桶に用いられることの多いのが座棺だ。縦長の直方体の棺に、膝を折り胡座(あぐら)をかいた姿勢の故人を納める。死者は西方の極楽浄土を拝む格好で、墓穴に沈んでいく。

ある地で行われていた「お棺割り」という風習も凄絶(せいぜつ)だ。これは葬式から49日後、墓をあばき埋葬された棺桶を掘り返し、棺のふたを割ることを指す。ふたが割れると、棺の中からホトケの顔がのぞくが、ひげや髪の毛が伸びていることもあったという。

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