「2025年以降もスズキが生き残ることができるように電動化技術を集中的に開発する」。スズキの鈴木俊宏社長は2月24日に開いた中期経営計画の会見でそう決意を語った。軽自動車でもハイブリッド車(HV)と電気自動車(EV)を投入すると宣言した。
20年12月19日号の当欄で述べたように、EVにすればCO2(二酸化炭素)排出が減るというほど単純な話ではない。火力発電が主ならEVよりHVが低炭素の場合がある。電力の低炭素化が一定程度進むまで、HVで高い競争力を持つ日本勢がHVに注力するのは合理性がある。ただし、軽自動車についてはHVを飛ばして、一刻も早いEVシフトを進めるべきだ。
理由の1つは、軽のHVはまだ市場に投入できていないことだ。軽で約3割ある電動車はすべて簡易型。「35年までに新車販売で電力車100%」という日本政府の目標には簡易型も含まれるものの、CO2削減効果はわずかしない。
CO2削減の実効性を高めるには通常のHVにする必要がある。ただし、価格とスペースの制約から軽HVは難しい。限られた開発リソースをこれから軽HVに投じるより軽EVに絞ったほうがいい。
近距離EVの確立を
電池のコストの高さから、どうしてもEVの値段は高くなる。低価格が売りの軽で、消費者に受け入れられるEVを造るのは難しい──。軽メーカーなどはこのように主張する。しかし、本当にそうか。
中国で大ヒットしている小型EV「宏光MINI」。航続距離は約120キロメートルと短いが、約50万円と激安だ。ここから見えてくることは2つ。まずは電池コストの急速な低下。もう1つは航続距離の呪縛からの解放だ。
自動車業界では、EVは近距離移動手段に適しているという考えが主流だ。だが「電欠」に対する消費者の不安を気にするあまり、いつしか航続距離こそが競争の軸となっていった。必然、大量の電池を積むことになり、EVの価格は高止まり。電池は製造時のCO2排出が多いため、環境にも優しくない。搭載電池容量が大きいと急速充電時の電力系統への負荷も重くなる。
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