春闘の季節だが、盛り上がらない。連合が2%程度の賃上げ(定期昇給分平均1.6%程度を含む)を目標に掲げる一方、経団連側は一律の賃上げには否定的で、ジョブ型雇用への転換を主張しているのは昨年と同じ。さらに、大手労働組合の要求は軒並み前年を下回り、ベースアップの要求見送りも多い。このままではベアゼロ時代に戻ってしまう。
コロナ禍で景気が悪いのだから当然だろうという声が聞こえてきそうだが、そうではない。今年こそベアを含む賃上げが必要だ。コロナ後の日本経済の回復を着実なものとするには、消費主導の成長を目指す必要があるからだ。
足元の雇用環境を見ると失業率は3.0%と抑制されている。これは、雇用調整助成金に支えられて正社員の雇用が維持されていること、失職した非正規労働者の一部が職探しを諦めてしまったために、失業率の上昇につながっていないことの両面がある。
賃金の悪化は本格化しつつある。毎月勤労統計調査の1人当たり現金給与総額の動きを見ると、2020年の7〜9月期は前年同期比1.2%減だったが、10〜12月期は同2.3%減。リーマンショック後と同様に、雇用を維持する代わりに賃金を削減するという日本特有の姿が見える。20年度は特別定額給付金による家計可処分所得のかさ上げがあったが、21年度はその剥落と雇用者報酬の減少で消費の回復が抑えられるおそれがある。
好況でも実質賃金減る
ここで、安倍政権下の景気拡張期(12年11月〜18年10月)を振り返ってみたい。高齢者や女性の労働参加率が上昇しつつ失業率も2.4%まで低下。この間、雇用者数は427万人(7.7%)増加した。ところが、1人当たりの名目賃金は2.8%しか上昇せず、物価の影響を除いた実質賃金は4.0%も下落したのである。
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