今から約20年前、本誌は「さようなら! デジタル放送 こんにちは! ブロードバンド」と題した特集を組んだ。2000年12月のBSデジタル放送開始にぶつけたもので、その3年後には地上波デジタル放送も導入されるというタイミングだった。
IT革命に沸く時代の空気を反映してか、タイトルはいささか前のめりだが、特集の主旨自体は至ってシンプルだった。安価かつ日進月歩で高速化するインターネットは遠からずテレビをのみ込み、放送網はインターネット化するというものだ。そしてそれは今、ほぼ現実となった。ユーチューブやネットフリックスなどの動画配信サービスが隆盛を極め、テレビ番組はインターネット経由で見るというスタイルが定着した。さらに新型コロナ禍によって個人が動画配信を始める流れも加速している。
一方で当時、インターネット化が招く最大の問題と考えられたのが、違法コピーだった。「ナップスター」や「グヌーテラ」などのサイトやソフトを使い、CDから取り込んだ音楽データをエンドユーザー同士が勝手にコピーし合うことが世界中で流行していた。
どう対応するのかとソニーの出井伸之会長(当時)に質問したところ、「いずれ、あらゆるコンテンツに広がる。非常に難しい問題であり、記者さんたちも無関係でないから一緒に考えていこう」と返されたことを記憶している。インターネットは自由だが、それが行きすぎて政府や法律でも制御できない部分が出てくることに多くの人が最大の危機感を持っていた。
そうした中、「いや、インターネットがはらむ問題はその正反対だ」と主張する人物がいた。憲法学者のローレンス・レッシグ米ハーバード大学教授だ。同教授は著書『CODE(コード)』で「インターネットは完璧に規制でき、すでに人々の振る舞いを制御・監視するサイバー空間ができつつある」と論じた。
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