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『メンター・チェーン ノーベル賞科学者の師弟の絆』 オンライン時代にあえて読みたい「密」な関係の物語

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メンター・チェーン ノーベル賞科学者の師弟の絆(ロバート・カニーゲル 著/熊倉鴻之助 訳/工作舎/2800円+税/512ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Robert Kanigel サイエンスライター、ノンフィクション作家。多くの新聞・雑誌に寄稿する。2冊目の著書『無限の天才──夭逝の数学者・ラマヌジャン』は全米ベストセラー。1999年からは米マサチューセッツ工科大学教授となり、学生の指導に当たった。

「メンター」(師、指導者)というのは不思議な存在である。親を選ぶことはできないが、メンターは自分で選べる。にもかかわらず、良いメンターに出会えるかどうかは運命に委ねるしかない。そして、いったん出会ってしまえば、弟子はメンターから全人格的な影響を受ける。

科学の世界では、濃密な「メンターと弟子」の関係が今も生きている。弟子はメンターから研究テーマへのアプローチ方法などを学ぶだけではない。時を忘れて共同作業に熱中し、まるで同志のように発見の喜びを分かち合うこともあれば、競争相手として火花を散らすこともある。

本書は科学者の「メンター・チェーン(師弟の連鎖)」をめぐる物語である。具体的には、薬理学・神経科学分野における、ジェームズ・A・シャノン、バーナード・B・ブローディ、ジュリアス・アクセルロッド、ソロモン・H・スナイダー、キャンディス・B・パートと続く師弟関係だ。

時代でいえば、第2次大戦中から1980年代初めまで。シャノンは米国が世界に誇る医学研究の拠点である国立衛生研究所の礎を築いた人物、ブローディは現代薬理学の創始者、アクセルロッドはノーベル賞受賞者、スナイダーは現代の神経科学のパイオニアで、パートはスナイダーとともに脳のオピエート受容体を発見するなど、全員が華々しい業績を上げた科学者だ。

著者によれば、科学界ではこうした超一流の科学者のメンター・チェーンは珍しくないという。では、これほどまでに優秀な人材のつながりは、いったい何によって支えられていたのだろうか。

例えばブローディは、人を励ますのが抜群にうまかった。「それに賭けてみようじゃないか」という彼の言葉には魔法の力があったという。「彼と話しているだけで、自分が何かすごい考えを持っていて、すごい科学を作り上げているように思えてくる」とアクセルロッドが証言している。

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