
会社を退職して“個人事業主”となり、固定報酬を得ながらフリーランスとして働いたり、起業したりもできる。2021年1月、広告最大手の電通が始めた取り組みだ。
「ライフシフトプラットフォーム」と呼ばれる今回のプログラムでは、応募した社員が退職して個人事業主となる。新卒入社の人は勤続20年以上、中途採用の人は勤続5年以上かつ40歳以上が対象。各個人は電通が設立した新会社「ニューホライズンコレクティブ」(NH社)と業務委託契約を結ぶ。募集をかけて最終的に集まったのが229人で、応募者の平均年齢は51.7歳だった。
契約の条件は、月に一定回数以上の新規事業提案を行うこと、NH社が受注したプロジェクトへ参画すること等だ。一取引先として電通の仕事を受ける場合もあるという。ただNH社がプログラムのメンバーに特定の仕事を命じることはない。個人事業主として必要な知識の習得、資格取得等の学び直しも業務に位置づける。これを前提に契約締結から10年間は、電通時代の給与を基に算出した「固定報酬」が支払われる。
メンバーが手がけた業務から生まれた収益は、一定割合が電通に還元され、メンバーにも「成果報酬」として支給される。10年の間に段階的に固定報酬が減り、成果報酬の比重が高まるように設計されている。

電通でクリエーティブディレクターとしてテレビCM等を手がけた野澤友宏氏は1月に個人事業主になった一人だ。自身の知見を生かし、電通時代に縁がなかった自治体や中小企業等、「より幅広い顧客と仕事をしたい」と意欲を見せる。自ら勉強したコーチングのスキルを生かし、クリエーターを抱える企業向けの研修も検討中という。
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