大阪市西成区にある在庫処分大手・shoichiの倉庫に2020年11月、多数の段ボール箱が運び込まれてきた。中に入っているのは、およそ5000枚の高級スーツなど。長年の経営不振の末、同年5月に民事再生法の適用を申請したアパレルの名門・レナウンの売れ残り在庫だ。shoichiの山本昌一代表は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アパレルからの在庫の買い取り依頼は前年比で2〜2.5倍に増えている」と話す。
レナウンは会社全体を引き受けるスポンサーを見つけられず、一部の主力ブランドを切り売りして破産手続きへと移行。かつて業界首位の売上高を誇った名門に救世主が現れることはなかった。「自社の事業運営すら厳しい状況なのに、不振企業の再生に時間や金を費やしている余裕はない」と、大手アパレルの幹部は吐露する。
コロナ禍での店舗の臨時休業や来店客数の減少が響き、20年度は大半のアパレル企業が赤字に陥った。外出自粛の長期化で地元志向が強まり、在宅勤務も広く浸透するなど、消費者のライフスタイルは大きく変化した。都心立地の百貨店やファッションビルには客足が戻らず、EC(ネット通販)利用が急増。自宅や近場の外出で着られる安価なカジュアル衣料の需要は根強い一方、スーツなどフォーマル衣料の売り上げは激減している。
足元では、ユニクロやワークマンの既存店売上高は前年実績を上回り好調を維持する。対照的に長らく業績が低迷していた百貨店アパレルや紳士服量販店は、来店客数が落ち込んだままだ。この先も大きく回復する見通しを立てられず、各社は大規模な店舗撤退と人員削減に踏み切っている。

大手の値下げも相次ぐ
国内アパレル市場では00年代半ば以降、ユニクロや海外ファストファッションといった低価格SPA(製造小売業)が台頭。ブランド横断で容易に商品比較できるECも拡大した結果、価格競争が熾烈化してきた。コロナ禍が消費者のライフスタイルの変化を促した今、衣料品のカジュアル化と低価格化の波に一段と拍車がかかることとなりそうだ。
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