親族以外に会社を任せたい人物がいた場合、用いられるのがMBO(役員による買収)だ。役員など経営陣が経営者から株式を買い取ることで承継をする。
従業員が承継するケースもあるが、こちらはEBO(従業員による買収)と呼ばれる。外部から後継者を連れてくる場合も同じ方法で承継が可能だ。
共通するのは、社内の人間がM&Aを行う点。その際、必ずネックとなるのは資金不足だ。役員や従業員が経営者の保有する株をすべて買うほどの資金を持っているケースは少ないため、金融機関からの借り入れが必要になる。
実際の流れは下図を見ていただきたい。後継者は特定目的会社(SPC)を設立し、金融機関から資金を調達。その会社を通じて経営者から株を購入し、承継対象となる会社を子会社化した後、合併する。

借り入れの負担を減らすためには、承継する会社にも工夫が必要だ。M&Aにおける事業譲渡に近いが、会社分割などで不動産と事業を切り離し、引き継ぐ資産を減らすことで負担を軽減できる。オフィスなど事業に使う不動産の場合は、残った会社から賃借すればいい。
役員持ち株会や従業員持ち株会を使う方法もある。一部株式を保有してもらうことで、後継者が買い取る株数を減らすことができる。まさに合わせ技だ。こうした手法からもわかるように、MBOを実現するには株価を低く抑えるような施策も必要だ。
ただ、経営者の手元に残る資金は他の方法に比べて少なくなってしまう点には要注意。MBOで譲渡するときの価格は、M&A同様、交渉に基づいて決まる。何とか承継を進めるために、「払える金額でいいと妥協する経営者は多い」(公認会計士の岸田康雄氏)のが実態だからだ。
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