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ライフ #人が集まる街 逃げる街

新旧の観光スポットが共存する街 蒲郡市 [愛知県]

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  • 牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

「蒲郡(がまごおり)の海! それは、瀬戸内海の海のやうに静かだ。低い山脈に囲まれ、その一角が僅かに断(たゝ)れて、伊勢湾に続いて居る。風が立つても、白い波頭が騒ぐ丈(だけ)で、岸を打つ怒濤は寄せては来ない」。文豪であり文芸春秋社の創設者でもある菊池寛が、大正11年に発表した長編小説『火華』の冒頭には、愛知県蒲郡市の穏やかな海の情景が描かれている。

蒲郡市は愛知県東三河地方の人口約8万人の都市だ。観光地としては明治時代から有名で、とりわけ市中央部の沖合にある無人島の竹島は、多くの参拝客を集めてきた。対岸とは橋でつながり、島の入り口には八百富(やおとみ)神社の鳥居が、島内にはその本殿などがある。

陸側も、橋のたもとにあった料理旅館の常磐館は志賀直哉や川端康成、三島由紀夫、池波正太郎ら文人に愛された。冒頭の引用は、小説の舞台となった常磐館から見た三河湾の様子だ。

現在、常磐館は海辺の文学記念館として保存されている。また、別館であった旧蒲郡ホテルは、今も蒲郡クラシックホテルとして営業している。アールデコ様式の内装が美しい洋館で、ロビーに立つと、文人が集い、多くの文学作品が誕生したことを感じられる。

竹島側から見た竹島橋。右奥に見える建物が蒲郡クラシックホテル(photolibrary)

街の観光要素として、竹島のほかには、愛知県内でも有数の温泉街がある。三谷(みや)、蒲郡、形原(かたはら)、西浦の4つの温泉があり、年間の利用者数は350万人ほどだ。

もう1つの売りが、大塚地区にある海に面した複合リゾートだ。1991年11月に愛知県、蒲郡市、JR東海、トヨタ自動車、ヤマハ発動機など9者が出資して第三セクター蒲郡海洋開発が設立された。同社はこの地区に、マリーナや、海をテーマにしたアミューズメントパーク「ラグナシア」、レストラン、魚市場、アウトレット、ホテル、タラソテラピー施設などを続々オープンさせた。

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