格付けは3~5年先の債務返済の確からしさについての格付け会社の意見である。トリプルAからシングルCあたりまで20段階以上に分類してシンボリックに表示するため、わかりやすい。投資ガイドラインの一部として広く使われ、金融市場になくてはならないツールとなっている。
格付けは平常時に問題になることは少なく、非常時には話題になりやすい。しかも、いったん格下げされると、資金調達コストが上昇するうえ、それが当該企業の資金繰りをより難しくする。悪循環が始まったときの格下げは始末が悪い。
キャッシュフロー重視?
筆者は信用分析を長年行ってきたが、いまだに謎がある。キャッシュフローを重視してつけられた格付けが散見されることである。財務内容がどうであれ、①営業キャッシュフローが潤沢、②擬似的なキャッシュフロー(株など)を潤沢に保有、③債券市場につねにアクセス可能、の3点を満たすか、どれかが突出している場合には、比較的高い格付けがなされてきた。
3月16日、S&Pが米ボーイングの格付けをAマイナスからトリプルBへ2ノッチ引き下げ、かつ見通しとして引き下げの方向を継続した。「737MAX」機のトラブルに加え、新型コロナウイルスにより航空需要が落ちたためという。
だが、そもそもボーイングの2019年12月期の連結決算で、自己資本はマイナス83億ドルで実質債務超過であったことを指摘したい。債務超過でもシングルA格が付与される謎。ほかにも米フィリップモリスなど、同様の事例は多い。
しかも、である。こうしたキャッシュフロー重視による格付けが主流であるのならば、先の3点を満たすソフトバンクグループ(SBG)の格付けがダブルB格であったことはおかしい、ということになるであろう。ボーイングがシングルA格を付与されていたことと整合性が取れないのではないか。
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