今回の新型コロナウイルスの問題は日本国内外を問わず終息にはまだ程遠い状況にあり、その帰趨について断定的な予想を述べることはできない。ただ、今回の問題を通じて明らかになりつつあること、気づかされた点については、そろそろ述べ始めてもよいように思う。
経済政策面でいえば、こういったネガティブなイベントが発生したときに市場が政策当局に期待するものが、従来とは少し変わってきたと感じられる。
今回、経済へのダメージが相対的に小さいとみられている米国において、2月末の時点で、すでにFRB(米連邦準備制度理事会)が3月にも最初の利下げを行い、その後、最終的に累計1%程度の利下げが行われることを市場は織り込んだ。
その一方で、比較的大きな影響を受ける国の1つとなりそうな日本での「利下げの織り込み」は、米中貿易対立の不透明感がピークに達していた昨年夏ごろの水準にも達していない。長期金利も昨年夏は10年債でマイナス0.3%まで低下したのに対し、今回はマイナス0.1%台までの低下にとどまっている。
輸出と観光への打撃が予想されるユーロ圏でも、「利下げの織り込み」はやはり昨年夏場の半分程度にとどまっている。
こと金融政策に関していえば、市場の期待には地域ごとに偏りが生じており、それは、わずか半年前と比べても顕著なのだ。
昨年、米国の経済や株価が堅調な中でも、FRBは3回も利下げを実施したという強力な履歴があるからこそ、市場は期待を強める。一方、昨年、ドイツの製造業が失速している中でもECB(欧州中央銀行)はようやく1回の利下げを実施しただけであり、日本銀行は結局、緩和カードを切らずに終わった。日欧の緩和余地が小さいことは、昨年いよいよはっきりしてきた。
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