ECB(欧州中央銀行)では、ラガルド総裁の下、新体制が始まった。最初の大仕事は、従来の金融政策の枠組みを見直す「政策再評価」である。
1月23日の定例理事会で同総裁は政策再評価の議論の期間について年末までをメドとする一方、ずれ込む可能性もあるとした。議論の内容についての説明は具体性を欠いたが、それは、理事会内部で意見が依然として分かれていることを意味しよう。
また、前任とは対照的に、ラガルド総裁が調整型であり、理事会で決定する前に総裁としての見解を示すのには慎重であることを反映している面もあろう。
政策再評価の議論の柱は大きく3つある。
第1は、物価目標の見直しだ。ECBは創立時の1998年に物価目標を「2%を下回る水準」と設定した。その後2003年に見直し、「中期的に2%を下回るが、2%に近い水準」という現在の表現に変更している。
物価目標の見直しが改めて議論される背景には、実際の物価上昇率がECBの目標を下回り続ける中、予想物価上昇率(期待インフレ率)がさらに下振れて、いわゆる日本化が進んでしまうことへの強い警戒がある。
現在の物価目標の下では、2%が事実上の上限と理解されるため、予想物価上昇率が高まりにくいことや、表現が曖昧なことがとくに問題視されている。この点を踏まえると、物価目標は、よりシンプルに「(中期的に)2%」などへと最終的に修正されることが考えられる。
第2は、政策決定プロセスの透明性向上や情報発信の見直しである。具体的には、理事会で金融政策を決める際に正式な投票を行うこと、総裁が政策変更などについて理事会での正式決定の前に言及するのを禁じる規定を設けること、などとみられる。
この記事は有料会員限定です
残り 820文字
