2020年は年初から米国とイランが軍事衝突、その後は新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で、世界経済に関する不透明感が広がった。
世界第2位の経済規模の中国の1〜3月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率1%まで急速に鈍化するとJPモルガンでは予想し、マイナス成長の可能性も排除していない。
もっとも、世界の株価は1月後半に数%調整した後、2月には大きく反発した。もちろん新型肺炎の伝染は春になれば収まり、その後の中国経済は力強く回復することが予想される。JPモルガンも中国の4〜6月期の実質GDP成長率は9%台まで拡大すると予測している。市場も先を見るので、それほど悲観的にならないのはわかる。
しかし、それにしても世界の投資家のリスクテイク志向がこれだけ根強いのは、やはり主要国の実質金利が軒並みマイナスになっている、超金融緩和状態が背景にあると考えられる。
ドル円相場もいったん円高に振れたが、すぐに円安に戻った。今年に入ってからやや大きめに円高に振れ、すぐに円安に戻すという動きを2回繰り返した。特徴的なのは、2回ともおおむね8営業日と時間をかけながら2円円高が進んだ後、2〜4営業日という短期間ですべてを帳消しにする円安に戻ったことだ。
円安が進むときのほうが、円高が進むときよりスピードが速いのは、円を売る側と円を買う側の動機が異なるからだと考えられる。1月の本欄「ドル円相場が動かなくなった要因」では、海外投資家が以前のようにリスクオン局面でも円キャリートレード(円を借りて外貨で運用する)を行わなくなっており、余計な円安にもならない代わりに、リスクオフ下でも円を買い戻す必要がないことを紹介した。海外投資家は円の現状は実質的に非常に割安だと考えており、リスクオンで円を売ってキャリートレードを行うより、リスクオフになったときに円を買って円高になるほうに賭けたいのである。
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