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コロナ危機が暴く「政治の劣化」 コロナ禍に見え隠れする差別を放置する政治家

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先日、米ニューヨークで驚くべき光景に出くわした。中年の白人男性が、中国系の高齢者にいきなり罵声を浴びせかけたのだ。「米国から出て行きやがれ、中国人のクソ野郎が!」

今回の新型コロナウイルスで改めて明らかになったように、感染症は気候変動と同じで国境などたやすく乗り越える。中国が1〜2月に経験したことは、数カ月のうちに世界各地で繰り返される可能性が高い。このような異常事態には理性で立ち向かうべきであって、デマに屈してはならない。人種差別をあおるなど、もってのほかだ。

だが政治家には、コロナ禍に見え隠れする差別感情をあえて放置しようとする傾向が目立つ。各国のバスや電車、街中ではアジア系、とくに中国人が嫌がらせの対象になっている。イタリアで感染が急増した今となっては、次はイタリア人が標的となるのだろうか。

中国、とりわけ武漢の住民は隔離生活の生き地獄に黙々と耐えている。なのに、こうした人々への同情や思いやりが他国からほとんど示されないのには驚くほかない。

例えば米国は中国に手を差し伸べ、早期に強力な感染症対策チームを共同で立ち上げることだってできた。が、米トランプ政権は人道的な連帯を訴えるどころか、中国の一党独裁を批判する声明を出し、米国への退避を駐在員などに促した。ここ何年と米中が戦略的に対立を深めてきたのは知っている。しかし、このようなときに刀を交えるのは政策とすら呼べない。単なるパフォーマンスで、危機の収束には少しも役立たないからだ。

世界保健機関(WHO)には不手際があったかもしれない。だが、テドロス事務局長をやり玉に挙げる人たちはWHOの権限が限られていることを知らなくてはいけない。WHOは各国に勧告を行う機関であって、感染症対策の一義的な責任は各国政府にある。WHOが直接の司令塔となるのは基本的に、2013〜16年のエボラ出血熱のように医療が欠如した貧困国で感染症が広まった場合だけだ。

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