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『息子たちよ』 週1日「五時間の父親」が2人の息子に寄せた思い

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息子たちよ(北上次郎 著/早川書房/1700円+税/251ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] きたがみ・じろう/文芸評論家、エッセイスト。1946年東京生まれ、明治大学文学部卒業。76年、椎名誠と「本の雑誌」を創刊。以降2000年12月まで発行人。94年『冒険小説論』で日本推理作家協会賞受賞。近作に『勝手に! 文庫解説』『書評稼業四十年』など。

平成の終わりに、「子を持つ男子たる者、イクメンにあらずんば人にあらず」のような空気が一時流れたが、男性の育児休業の取得率は依然低調だ。厚生労働省の調べでは6%にとどまり、取得期間も5日未満が約6割を占める。「それでは有給休暇と変わらないのでは」という突っ込みはもっともだ。

とはいえ、世の父親は子を思っていないわけではない。時代が変わり始めたとはいえ、同調圧力が強い日本では、「1年、休みたい」と思っていても言い出せないお父さんがほとんどなのだ。「わが子は引きこもりにならないだろうか」「半グレになったらどうしよう」と心配しながらも、育児そっちのけで働き続ける。本書は、働きづめで家庭を顧みたいけれども顧みられない人必読の1冊だ。

著者は「本の雑誌社」の創業メンバーで文芸評論家としても名高い。書評を切り口に、家族の思い出を重ねるエッセー形式で、息子たちへの思いをつづっている。

子供たちへの愛にあふれる本であるが、決してイクメンのお父さんの回顧録ではないので安心してほしい。むしろ、その対極に著者はあった。

書き出しの「二十年間、家に帰らなかった」の1文が著者の父親としての立ち位置を物語っている。2文目で「いや、毎週一日は帰宅していたから、まったく帰らなかったわけではない」と受け、読み手は少し安心するが、週に1度帰宅する事実を、胸を張って言われても困ってしまう。

家になぜ帰らないのか。起業につきものの忙しさに加え、個人でも外部の媒体に多くの原稿を書いていたこともあり、通勤の時間がもったいなくて平日は会社に寝泊まりしていたとか。それなら土日は空くはずだが、競馬エッセーの仕事を受けていることもあり、土日は競馬場に足を運ぶ。結果、日曜の夕方に帰宅し、寝るまでの「五時間の父親」としてあり続けた。

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