2019年8月に公表された公的年金の財政検証結果を受け、20年は年金制度改正法案が通常国会に提出される。年金改革はどのように進むのか。
現在の公的年金制度は厚生年金と国民年金の保険料を固定したうえで、その収入の範囲内で人口要因(少子化や長寿命化)に応じて給付水準を自動的に調整する仕組みだ。これにより、財政収支の均衡は強制的に達成されるため、残された年金改革の方向性は、目減りする将来世代の給付水準をいかに底上げするかに絞られている。
20年の法改正で最大の目玉となるのは、非正規短時間労働者への厚生年金の適用拡大だ。現在、所定労働時間が週20時間以上、月額賃金8.8万円以上、企業規模が従業員501人以上の短時間労働者に厚生年金は適用されている。
適用拡大により、短時間労働者が国民年金から厚生年金に移行すると、その労働者自身の年金給付が増えるほか、年金制度全体で見ても、国民年金の財政改善効果によって基礎年金を中心に所得代替率は向上する。19年の財政検証では、適用拡大のケースごとに給付改善効果が示された。

中小企業が猛反対
だが、問題は厚生年金の適用拡大で企業側の保険料負担が発生することだ(厚生年金保険料は労使の折半負担)。法改正の議論が本格化した19年秋から、中小企業が中心となる日本商工会議所などが反対運動を展開した。
加えて、年金改革の議論の舞台が、厚生労働省の審議会から官邸直結の全世代型社会保障検討会議へ軸足を移したことも影響した。同会議を仕切るのは経済産業省だ。「適用拡大の影響は、パート比率の高い小売業、卸売業、飲食業では深刻だ」(梶山弘志経産相)と、経産省の企業寄りの姿勢が議論に終始影響を与え続けた。
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