ふるさと納税に都市部の自治体が悲鳴を上げている。近年、都市圏から多額の税金が流出しているからだ。
東京都内の自治体からの流出額は昨年度、約645億円に上った。川崎市(神奈川県)の場合、今年度の減収額は56億円余りの見通しであり、同市はポスターで「ふるさと納税によって流出している市税は、本来は、私たち川崎市民のために使われる貴重な財源です」と訴えている。
ふるさと納税は、個人が寄付額から2000円を差し引いた金額を地元自治体の個人住民税などから控除できる仕組みである。住民税額の2割を上限に、特例控除で本人の負担は2000円で済む。
ふるさと納税額は年々、増加を続けており、昨年度は5000億円を超えた。その理念は「ふるさと」などへの恩返しであり、「応援したい自治体へのサポート」である。寄付の使途を指定できることから、「自治体が国民に取り組みをアピール」する自治体間競争が進むことも期待されてきた。
ふるさとへの恩返しが進めば、結果として都市から地方に財源が移転することになる。その意味で都市部からの税金流出は制度の想定内といえる。
しかし、想定外だったのは寄付の行き先だ。多くは自治体を応援したいからではなく、豪華な返礼品目当てだ。泉佐野市(大阪府)などは1000種類の返礼品をアピールした結果、昨年度の受け入れ額は500億円とふるさと納税全体の1割を占めるに至った。
総務省は地方税法改正により、今年6月から寄付額に対する返礼品の割合を3割に抑えること、返礼品は地元産に限ることを特例控除の条件とした。泉佐野市など4自治体については、これらの条件を満たしてこなかったとして、さかのぼって制度から除外する措置を講じた。泉佐野市はこれを不服として11月に大阪高等裁判所に提訴、法廷で争う事態に至っている。総務省の措置には「地方分権に反する」といった批判があるが、泉佐野市を含む自治体が返礼品競争を過熱させるなど制度の理念を損ねてきた事実も否定できない。
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