「返仁会」。日本企業で最大数規模の博士を抱える日立グループの現役社員やOB・OGの集まりで、約2000人が在籍する。「高度の発明をなすものは、変人以外は期待しがたい」との持論から、当時は「変人会」と名乗っていた。
東京・国分寺市にある日立製作所最大の中央研究所。その正門をくぐると、多くの“変人”が通ってきた「返仁橋」があり、その先に研究開発拠点「協創の森」が今年4月に新設された。
間仕切りを減らした開放的な建物からは武蔵野の自然が望める。東原敏昭社長は「研究者が顧客と一緒にアイデアを出し合い、議論を深め、日立の持つ基盤を活用してもらうことでイノベーションを創出していく場にしたい」と話す。
2階にあるプロジェクトスペースでは、日立の持つ人工知能(AI)やロボット技術のほか、IoT基盤「ルマーダ」を顧客が活用し、検証や実証を繰り返しながら新技術やサービスを集中開発できるのが特徴だ。条件付きだが、未公開の最先端技術も紹介する。
日立がオープン&スピードに舵を切るのは、米IBMや米GE、独シーメンスなどライバルとの競争が激しいからだ。日立のCTO(最高技術責任者)兼研究開発グループ長を務める鈴木教洋執行役常務は、「米国駐在時にIBMやGEの先端的な研究所を多く回ったが、どこも顧客と議論する場や国際会議場を備え、そこでイノベーションが起きていて衝撃的だった」という。今回それを日立で具現化したのが「協創の森」だ。
この記事は有料会員限定です
残り 617文字
