前回は和歌山県の和歌山市を取り上げたが、徳川御三家といえば紀伊、尾張、そして水戸だ。水戸市は茨城県の県央部に位置する県庁所在地で、人口は26万9000人を擁する。東京からは意外に近く、東京駅から特急なら1時間15分ほどで着く。常磐自動車道にも水戸インターチェンジがあり、車でのアクセスも悪くない。
だがこの街の印象となると、首都圏に住む人間にとっても希薄である。水戸には製造業などの目立った第2次産業が存在せず、商業都市としてのイメージが強い。だが、かつては駅前に多く立地していた大型の百貨店や商業施設はほかの地方都市同様、近年その多くが閉店や撤退に追い込まれている。水戸駅に降り立っても、ペデストリアンデッキに立つ、助さん格さんを従えた水戸黄門像が目に飛び込んでくる以外、水戸を象徴するような施設は見当たらない。
水戸を訪れる人の多くが向かうのが偕楽園だ。偕楽園は1842年に9代藩主徳川斉昭によって造られた日本庭園で、岡山の後楽園、金沢の兼六園と並び、日本三名園の1つに数えられる。園内の梅は全国的に有名で、毎年2月から3月にかけて梅まつりが開催され、多くの観光客でにぎわう様子がメディアなどでも報じられる。梅だけでなく、4〜5月に咲き乱れるツツジも見応え十分だ。また秋の訪れを感じさせるハギも見逃せない。偕楽園は全体が公園になっていて、その面積はニューヨークのセントラルパークに次いで世界第2位を誇る。
偕楽園を訪れる際にぜひ足を延ばしたいのが千波湖だ。この湖は水戸城の南側にあって外堀の役目を果たしていたが、戦後、埋め立てなどによって整備された。湖周辺を歩くとこの街の持つ独特の風情を感じることができる。梅やツツジの季節でなくともこの散策路はゆったりとした時間の流れを体感できるすてきな空間なのだ。
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