赤い街ヨシュカル・オラでの講義を終え、次の街トムスクに向かう。トムスクはシベリア連邦管区トムスク州の州都でシベリアの西部、オビ川から分岐するトミ川の河畔にある。ロシアは東西に広大な国のため、自国内で時差がある。今回の講演日程で最初に訪れたカリーニングラードはロシアでいちばん西に位置するために日本との時差は7時間。モスクワやキーロフは6時間だが、トムスクになると日本との時差はわずか2時間、より日本に近い。
ところがせっかく日本に近づいているのに、ヨシュカル・オラから直接トムスクにアクセスする航空便はなく、私たちはいったん西にあるモスクワに戻り、つまり時差は4時間長くなり、飛行機を乗り換えて東にあるトムスクに向かうことになるのだった。
日本でもそうだが、航空便はその多くが中心都市であるモスクワを起点とするために、とりわけ国土の広いロシアでは航空機での都市間移動は少々面倒なことになる。
トムスクのある地域は16世紀まではタタール人の遊牧地であったが、シベリアに進出するロシアが1604年に要塞を築き、軍事拠点として発展する。だがこの街に多くの人が集まり出したのは1820年代からだ。シベリアで金鉱が発見されたことで、トムスクは金鉱の街として一躍シベリア最大の街へと変容していく。
だが、19世紀末に開通したシベリア鉄道はトムスクに駅を構えることはなかった。この地はトミ川の流域で湿地帯を形成しており、鉄道の敷設が困難だったのだ。鉄道はトムスクよりも南側のノボシビルスクを通ることになり、トムスクはシベリア最大の街の称号をノボシビルスクに譲ることとなる。
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