国家の失敗とは何か。それを知るのにわざわざ中南米やアフリカまで足を運ぶ必要はない。欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題に揺れる英国では、政治の失敗がますます明白になっている。
英国の議会制民主主義はかつて高く評価されていた。英国では伝統的に政府と議会、独立した司法が互いにチェックし合うことで政治が過激化するのを防いできた。保守と革新のバランスをとりながら時代に対応し、巨大な帝国から中規模な国へと自己変革を遂げてきたのが英国だ。これを自らの価値体系を投げ捨てたり、崩したりすることなく成し遂げたからこそ、英国政治は多くの国から模範とされるようになったのである。
だが、もはや見る影もない。
英国には他の欧州諸国ほど過激な活動家はいないとはいえ、近頃は活動家タイプの存在感が増している。極左のコービン氏が労働党を率いるようになったのは、その表れだ。保守党でも、党員数の減少に伴って過激化が進み、ジョンソン氏のような信用ならない策士が党首、すなわち首相に選ばれた。
ジョンソン氏はウソをつきまくって出世してきた人物といっても過言ではない。同氏の人気は基本的に保守党にはびこる排外主義のおかげだ。首相となれたのも、10月末までにブレグジットを実現させると後先考えずに確約したからにほかならない。合意があろうとなかろうと、その結果がどうなろうと、EUから離脱する──。ジョンソン氏はそう言って胸をたたいたのである。
もはや離脱の決死隊
ジョンソン氏は組閣に当たり、似た者同士で身内を固めた。中でも上級顧問に任命されたカミングス氏はキャメロン元首相に「職業的なサイコパス」と形容された人物だが、新政権では首相に並ぶ影響力を持っている。2016年の国民投票で離脱運動を率い、フェイクまがいの主張を振りまいたことで下院委員会に証言を求められるも、これを拒否。「議会侮辱」の前歴が少し前に確定している。
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