昨年夏以来、中国関連の話題でメディアをにぎわせてきたのは、もっぱら米中貿易戦争がらみのニュースだった。
だが、2大国間で制裁関税をかけ合う泥沼の対立劇が演じられてきたその裏側で、反腐敗キャンペーンにも匹敵する激震を社会の隅々にまでもたらしていた事案があった。日本にはあまり伝わっていないが、習近平指導部がひそかに力を注いで取り組んできた“闘争”である。
キーワードは、「掃黒」と「除悪」だ。漢字を解する日本人にはあまり説明の必要はないが、要するに黒社会(ギャング)の撲滅キャンペーンである。意味しているのは、組織犯罪が目に余るレベルに達しているということだろう。
だが、それだけではない。こうしたキャンペーンが党中央の指導の下で進められるということは、その背後で黒社会と地方の政治権力が結託し始めたことも示唆している。由々しき事態だ。
4月6日号のこの連載でも触れたように、いま中国では強盗など現金を目的とした凶悪犯罪が減り、詐欺が一大社会問題化している。景気悪化が鮮明になる一方、キャッシュレス化の進んだ社会では強盗をしても現金が得にくいとあって、犯罪集団が一斉に詐欺へと流れ込んだことで生じた現象だ。
詐欺は大がかりなグループを形成しやすく、また権力とも結び付きやすい。摘発されるほとんどのケースに権力との関わりがあるのも、この犯罪の特徴である。理由の1つは、大きなお金が動くので金力と権力が結び付くこと。もう1つは、詐欺の種類によっては公共の機関のような看板を掲げる場合があったり、一定期間、拠点を持つ必要があったりと、権力の助け(お目こぼしも含めて)を必要とするということだ。
反腐敗キャンペーンで賄賂を受け取りにくくなった役人たちとも、ウィンウィンの関係を築きやすいと考えられる。
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