──30年間で事業環境はどう変わりましたか。
カインズの前身は、78年に栃木で1号店を出店した「いせやホームセンター」だ。日本のHC黎明期に立ち上げ、10年間で売上高500億円となり、いせや(現ベイシア)から分社化しカインズとなった。今は219店舗で、4000億円超の売上高に成長している。
ただこの10年間、HC市場は4兆円で横ばいだ。地方の人口減少と経済成長の鈍化で全体のパイが大きくならない中、さまざまな小売業が業態の垣根を越えて出店を続け、HCはオーバーストアだ。
──なぜこのタイミングで経営のバトンを引き継いだのでしょうか。
創業家の土屋裕雅会長(前社長)から「社長をやってほしい」と言われたのは正確には昨年末だが、それ以前からそれとなく言われていた。この1年間、土屋会長とカインズの「次の10年、20年をどうするか」を議論してきた。
カインズはこれまで2度の大きな挑戦をした。1つはHC事業の創造で、もう1つはSPA(製造小売業)に転換し、業界一の高収益企業になったことだ。これらは創業家による大きな変革だった。
ただ、今のカインズは「新店を出せば成長できる」という成功体験が社内で強く、構造的な課題になっている。業績がまだ伸びている今のうちに、「既存のパイで戦うのではなく、新しい価値をつくりたい」と土屋会長と議論を交わし、第3の挑戦として、目指す方向を『IT小売業』に定めた。
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