英国のEU離脱問題がもめにもめている。事態は刻々と変化しているが、執筆時点の状況はおおむね以下のとおりだ。
メイ首相は3月27日、EUから抜ける条件を定めた離脱協定案が議会で承認されれば辞任するという、「捨て身戦術」に出た。この退路を断つ作戦が奏功し議会の承認を得られれば、英国は5月22日にEUを離脱することになる。
しかし、同協定案は、過去3回も議会で否決されている。加えて、政府の協定案に代わる議会の離脱代替案もすべて否決されている。議会制民主主義の母国、議会政治の母国でかくも議会政治が機能しないのはなぜか。
つい先日訪れた英国で、何人もの有識者に話を聞いた。印象に残ったのは、「ケーニヒスベルクの7つの橋の問題と同じで、答えがない」というものだった。
英国は輸出の25%、輸入の40%をEUに依存している。経済合理性を考えればEUから離脱はできない。一方で、離脱に賛成する人はジョン・ブル魂を何よりも重んじ、ブリュッセルのEU官僚の言いなりになるのはまっぴらごめんだと考えている。いわば異次元の争いなので、折り合うはずがないという見立てだ。ではどうすればいいのかと問うと、「国民投票の再実施か、解散総選挙以外の道はない」という。
EU側は期限を4月12日と定めている。協定案が議会で承認されなければどうなるのか。合意なき離脱が現実のものとなるのか。そうなれば英国が受ける経済的ダメージは計り知れない。それは英国の歴史上最大の危機であった、ナポレオンによる大陸封鎖令を自ら創出するような愚策だ。
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