1月末から2月に仏ナントで開催された「ラ・フォル・ジュルネ(LFJ)」は、「旅のアルバム(手帳)」のテーマどおり、旅にまつわる音楽の宝庫であった。
「人が旅をするのは到着が目的ではない。旅そのものが目的なのだ」。そう語ったのはドイツの文豪ゲーテだが、音楽家にとってもそれは同様である。いつの時代にも彼らは新たな音楽を求めて異国の地を目指し、異文化からたくさんのものを吸収して自分たちの創作に取り入れてきた。
例えば、18世紀にはモーツァルトがヨーロッパ中を旅して回り、各地で名作を生み出したことは有名だ。そして19世紀末には、米国に渡ったドヴォルザークがかの地で「新世界より」などの大作を作曲している。
そんな旅のエッセンスを集約したLFJの5日間は、まさに音楽でたどる世界旅行だ。
中でもとくに象徴的なイベントはといえば、「グランド・ツアー:ヨーロッパをめぐる旅」だろうか。18世紀の貴族の若者たちの間で流行した、見聞を広めるために欧州各地を巡るグランド・ツアーを、俳優の朗読とともに音楽で再現した舞台である。パーセル、ラモー、テレマン&バッハなどバロック音楽の名旋律が会場を満たした。日本公演では今年のLFJアンバサダー・別所哲也氏が朗読を担当する。
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