トランプ米大統領は矛盾の塊だ。そうでなければ、ニューヨークの不動産王が「庶民の味方」を標榜できるはずがない。だが同氏の矛盾はここに来て日本の安全保障にも影響を及ぼしつつある。日本は今まさに新たな防衛大綱と整備計画を実行に移そうとしているところだ。筆者は日米の防衛協力がより緊密かつ効果的なものになると期待するが、同時に多くの課題も浮かび上がっている。
前向きな動きとしては、日本の防衛大綱が米国の政策担当者に高く評価されている点だ。陸上、海上、航空と分かれる自衛隊の一体運用への推進のほか、自衛隊と米軍の相互運用性の改善、宇宙やサイバー空間といった新たな分野への投資などが挙げられる。
さらに日本政府は日米防衛協力をさらに緊密なものとしたい考えだ。これは宇宙、サイバー空間を含む、ほぼ全活動が対象となる。日米の協力が一段と密になれば、東アジアの安定維持に役立とう。しかし、日米の協力強化は口で言うほど簡単ではない。
米国の安全保障政策に揺らぎが生じているからだ。頼みの綱のマティス国防長官が辞任した後、長官代行に就任したのがシャナハン副長官だ。航空宇宙大手ボーイングに30年勤務していたが、政府での経験には乏しい。しかしトランプ氏はいまだにマティス氏の後任を指名しようとせず、国防総省は影響力低下に見舞われている。
トランプ氏は防衛面でタカ派を演じることも多いが、一方では対テロ戦争の最前線になっているシリアとアフガニスタンから米軍を引き揚げようとしている。北朝鮮についても「核の脅威はなくなった」と宣言し、今にも在韓米軍の縮小に応じかねない勢いだ。
実際、トランプ氏は他国との同盟関係に無関心などころか、敵意を示すことすらある。これこそ、マティス氏が辞表を突きつけた最大の理由だ。コーツ国家情報長官は1月、同盟国が「米政府から距離を置こうとしている」と警告した。しかも「中国とロシアが1950年代半ば以来、かつてないほど連携を強めている」ときに、このような事態を招いていると指摘した。
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