富山県富山市の富岩(ふがん)運河環水公園には、世界一美しいと称されるスターバックスがある。建物自体はガラス張りの箱型で、外観や内装が特段美しいわけではない。なぜこの店が世界一美しいのかは、店に入ってコーヒーを手に取り、運河に面する窓際の席に腰を下ろしたときにわかる。
眼前に穏やかに広がる運河に天門橋というシンボルブリッジが架かり、夕陽が美しい。夜にはライトアップされ、春は桜、夏は花火、秋は紅葉、冬は雪、と季節に応じた景色を楽しむことができる。この美しい公園はパークPFIという民間委託の手法を利用してつくられた。ほかの地域と同価格のコーヒーをこんなにゆったりとした環境で楽しむことができる。
富山市は面積約1241平方キロメートル、人口41万8000人を擁する北陸地方の中核都市だ。北は日本海に接し、南は岐阜県に接しており南北に長い。市域が広大であることから人口が郊外に拡散し、自動車に頼った生活スタイルが主流となってきた。
人々が郊外へと拡散していくことで、結果として行政は膨大な社会インフラの整備を余儀なくされ、財政を圧迫することとなった。
こうした状況を受け、2002年ごろから「富山市コンパクトなまちづくり研究会」が中心となってコンパクトシティー化の取り組みが進められるようになった。
計画の特徴は、自動車依存が極端に高い社会ではなく、鉄道やバスといった公共交通機関を縦横無尽に張り巡らし、市街地の中心部へ市民を「誘導」することを目指したところにあった。
具体的には次世代型路面電車システム「LRT」と公共バスを接続させることで、市内の交通網を整備。今後の市民の高齢化と人口の減少に備えて、自動車依存からの脱却と市街地のコンパクト化を狙った。この取り組みは市民に対する「強制」ではなく、あくまで「誘導」としたところに特徴があり、全国から注目を浴びた。
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